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コモ湖畔の書斎から2 dalla finestra lariana2

2017 08 08 前衛建築
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ちょっと専門的な話しになってしまうけれども、この建物の中庭はコモの街でも最も洗練された純ルネサンス様式と言える。現在はご覧のとおりの有様で,この建物のもつ文化的な価値を、よくここまで無視して使われていると、飽きれてしまう。
コリント式の細いプロポーションの丸柱に,これもまた細い線のアーチが乗り二つのアーチの間にはまるではめ込まれたようなメダリオンがある。こんなプロポーションを見れば,建築史を齧ったものなら、ルネサンス様式の創始者ブルネレスキーが計画したフィレンツェの捨て子保育院のアーケードの列柱が頭をよぎるだろう。コモの街には,このような1400年代を思わせる初期ルネサンス様式の建築は,他には皆無といっても良いくらいで,おそらくこの時代にはまだゴシック様式が主流で、かなり前衛的な建築として建てられたに違いない。再び建物に目を戻せば,軽快なアーチの上にはどちらかと言えば少し太めの帯が水平方向に走る。それでもこの太い帯はどちらかと言えば細めの,肌理の細やかなコーニスで挟まれている為か,重さを感じさせない。そしてこの太い帯の上には新たにこの次はリリーフの付け柱によってファサードが分節化されている。当然アーチによって持ち上げられた一階の軽快で、重力から開放されたオーダーに比べて、この二階の付け柱のオーダーは、しっかりと大地に腰をおろしたような静的な安定感を見せている。このオーダーからは、ブルネレスキに続いて古典的なルネサンス様式を完成させたブラマンテのローマにあるサンタマリアデッラパーチェの,あの静謐な中庭の二階オーダーが頭に浮かぶ。そしてこの付け柱の間にある窓はどちらかと言えばかなり太い額縁が三方を回りそれが先の太い一階オーダーの帯の上に載っている。こうすることで、付け柱間の大きな壁面は,柱と額縁で分節化され,「壁面」としての意味を失い,まるで「柱/梁/窓/額縁」といった建築言語が巧みに組み合わされたひとつの「構成」となる。
何故か一階が高く,二階は低い階高のオーダーのようだけれども、よくよく見て行けば,一階と二階の階高はほぼ同じであり、巧みな丸柱と付け柱を使ったプロポーションの操作によってファサードが構成されている事に気づく。このような洗練された古典的な建築言語の操作は初期から盛期にかけてのルネサンス建築に特徴的な態度であり、この中庭を見ると突如500年前の建築家の斬新性にと出会う事になる。

















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by kimiyasuII | 2017-08-09 05:42 | Comments(0)