2019 01 25 読む |
Gianrico CarofiglioジャンリーコカロフィーリオのIl Silenzio dell'Onda 波の沈黙 を読む。日本語の本でさえ最近は読むのに苦労するからこのイタリア語の本も大分、時間がかかってしまった。彼の本は数冊、日本語にも翻訳されている。推理小説、に分類されるけれども、この本は推理小説というよりはほとんど「純文学」と言ってもよいくらい主人公を通して「人間」を描いている。もちろん主人公は休職中の警官だから「推理小説的」な様相は備えているけれども、静かに、本当に静かに展開して行くストーリは、主人公の心の軌跡であり、一見何も起きていないようでありながら、主人公ロベルトの心は、大きく変わって行く。もともと検察官をつとめていたジャンリーコの本は、推理小説にありがちな連続して起きるダイナミックな事象の展開とは対極にあり微妙な心の揺らぎや変化を積み重ねていくもので、それもフロイトの言う無意識のレベルでの心の変化だから多少の心理学の知識がないと余り面白くないかもしれない。
このような極めてイタリア的な小説を読むと、1800年代にマンゾーニの許婚から始まるイタリアの伝統的な文学の厚い背景を感じないわけにはいけない。
by kimiyasuII
| 2019-01-25 20:04
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