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イタリア

コモ湖畔の書斎から2 dalla finestra lariana2

2019 03 11 当番薬局
イタリアでは、日曜日は休みだ。もちろん日曜日は日本も仕事が休みだけれども、イタリアでは店もお休みだ。だから日曜日に買い物はできない。急病になったりすると、薬局も休みだから薬が買えない。それでは皆困るから、当番薬局というのがあって、そこは日曜日でも24時間やっている。土曜の夜に、咳が止まらなくて、寝不足になってしまった。ネットで、当番薬局を探すとコモの街にあったので、朝、咳止めシロップを買いに出掛けて行った。何か用事でもないと、日曜日にコモの街まで下りてくることは無いから、久しぶりに少し街を散歩した。それにしても店は、数軒のバルしか開いていないのに、人が凄い。天気の良い日曜日だから寒い冬が終わり春を迎えようとしている季節にはちょっとくらい寒くても天気が良ければ人は街を散歩に出掛けてくる。それにここ数年はコモの街も観光ブームで一年中観光客が絶え間ない。お店がみんな閉まっているのに、そこをぶらついて一体何が楽しいのだろうかと、思ってしまうのだけれども、店が閉まっていても、楽しいような町並みがあるのも事実だ。むしろ、ご主人は、店が閉まっていることに感謝して、夫婦仲良く散歩をしているのかもしれない。子供だって、おもちゃが欲しくても、店が閉まっているのだからどうしようもない。あまりこの言葉は使いたくないけれども「日本なら」こんな商機を逃す、店は失格だ。途切れないほど沢山の人が押し寄せてくる街で、日曜だからといって店をしめてしまうなんて。
キリスト教、カトリックは日曜が休日だから、という伝統、宗教的な伝統でそれを説明して納得するのは簡単かもしれない。でも、僕は本当は違うんじゃないかと思う。それはお店をやっている人も、日曜を謳歌したいためだと思う。お金だけで、稼ぐためにだけ生きているんじゃない。生きるために稼いでいるのだから、稼ぐために日曜を生きることができないなら、全く生きている意味が無くなってしまう。
経済的にどちらが有利かという日本を支配している「価値観」が、イタリアにもあることは事実だ。でも、その一方で、おそらくはるか昔の「生は享受するもの」という「地中海文化」のもう一つの価値観が並存しているのだと思う。単一的な価値観に支配され皆が同じ方向を向いてしまう社会は随分つまらないものだし、時には「危険」を孕んでいる。
人でごった返す程の日曜日に、ひとり店を閉めてしまうような「へそ曲がり」がいなければ、この世は全くつまらない。




















by kimiyasuII | 2019-03-12 05:12 | Comments(2)
Commented by BBpinevalley at 2019-04-02 16:27
私の父は戦争で中国に行ったのですが、日曜日になると、アメリカ軍の空からの攻撃が無くなったものだそうです。
戦争においても日曜日には休むのかと、感心したり可笑しかったりだったと、話していました。
Commented by kimiyasuII at 2019-04-03 01:44
日本に行くと、「日曜くらい休めよおおお」って怒鳴りたくなってしまいます。買い物ほどのストレスはありません。店のほとんど閉まったコモの街を歩くのは、本当にリラックスです。もう直き「令和」になる日本はどこに行くのでしょうか。